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ホームレスの方々を食い物にする人々

20091018

宇佐美 保

 苦しい夏が終わったと思ったら、もう肌寒く、冬が忍び寄ってきました。

家の中なら、どんなに寒い夜といえどもで、布団に包まって寝る事が出来ます。

 

 でも、ホームレスの方々は、どうやって冬をやり過ごすのか心配になり、或るホームレスの方に質問しました。

 

 “寒いなんてもんじゃない、朝が来ると「おお!未だ生きていた!」と感慨無量となるんだよ。

 

 氷雨が降っていた或る夜、寝場所として軒下を貸り、ダンボールも濡れていたので、コンクリートの床に直に寝てしまったのです。

 ところが、朝起きたら、お尻の皮が全部ベロリと剥けてしまっていた

臀部が凍傷に罹ってしまったのですよ。

 もう痛くて痛くて(お金もなくて医者にも行けません)、とても外では寝られないので、嫌でしたが、シェルター(この件は、後述します)に入ったのです。

そして、治るまでに2ヶ月掛かりました。

 治った今でも、お尻の皮は真っ黒です。”

 

 何故、シェルターとか言う寝場所を利用し続けないのか?を尋ねました。

 

 “シェルターなんか入ったら、人間扱いされないからね!

なにしろ、一癖も二癖もある利用者を仕切る為に、シェルターの持ち主が、そんな利用者の中から一人をいわば牢名主というか猛獣使いとかの役(17万円ほどの給料を貰う)に抜擢して、利用者を動物扱いして飼い馴らすんだよ。

その為にも、シェルター内では禁酒なんだ。

 

 或る大晦日の夜、一人の男が、酒を飲んで帰ってきたのを「牢名主」役が咎めて、彼を着の身着のままで、追い出してしまったのだよ。

冬の寒空の下で、着の身着のままではとても耐えられないよ!

そこで、翌日(?)「役所が開く5日(正月明け)まで何とか中に入れてくれ!」と「牢名主」役に泣きを入れたのに、けんもほろろに追い返された彼は、刃物で牢名主の腹を刺して殺してしまった事件が起きたくらいなのさ!”

 

 そのシェルターの場所が、練馬区の関町だったと教えて下さったので、インターネットを調べましたら、「日本一の犯罪都市東京 TVでは伝えない真実の姿」とのホームページに次のような記述を見ました。

 

 

東京・練馬区の生活保護者の宿舎で2日(筆者注:20061月)、施設長の男性を刃物で刺し、殺害しようとしたとして、男が現行犯逮捕された。男性はその後、死亡した。

 

 殺人未遂で現行犯逮捕されたのは、岡部行進容疑者(55)。調べによると、岡部容疑者は2日午前0時半ごろ、練馬区関町南にある生活保護者の宿舎で、この施設を管理する男性とトラブルになり、男性の腹を刃物で刺して殺害しようとした疑いが持たれている。男性は病院に搬送されたが、まもなく死亡した。

 

 調べに対し、岡部容疑者は「出ていけと言われ、カッとなった」などと話しているということで、警視庁は容疑を殺人に切り替えて調べる方針。

 

 

 この記事にあります「出ていけと言われ、カッとなった」だけが理由でない事が、ホームレスの方のお話から分かります。
それから、次のようにも話してくれました。


 そんなような奴らが、「牢名主」役となるから、中には、集めた数百万円の金を懐に入れてドロンを決め込んだのもいたくらいさ!



 

 更に、これらのシェルター(生活保護者の宿舎)について教えて頂きました。

 

 

“米なんて臭くて食えたものではないよ。古米どころではなく、古古古古古古……古米だよ!

何処かの役所などからか無料で入手するんだろうね。

いくら磨(と)いだって臭くて臭くて食えた代物でないよ!

これよりも、コンビニのゴミ箱を漁って食べた方がずっと美味しいよ。

弁当やおにぎりはビニールで梱包されているから良いけど、オデンなんかは大変だよ、ゴミ箱には外を掃いたごみもタバコの吸殻も皆一緒だからね。

それでもオデンの竹輪とかナントカを公園の水でゴシゴシ洗って食べるのさ。

この方がシェルターの食事より美味しいんだよ!

 

それに、食事の調理も、シェルターの掃除も、便所掃除も全て我々利用者がやるんだぜ。

布団だって酷いもんだよ!

だからとても耐え切れなくて、出てしまうんだ。

 

 それでも、何箇所か回ってみたけど皆同じだよ、とても耐えられないよ!”

 

 

 でもホームレスの方々が何故無料(?)のシェルターが利用できるのでしょうか?

ここで、一先ず、今朝(20091018日)の東京新聞の次の記事を引用させて頂きます。

 

 

 「勝手に銀行口座をつくられ通帳や印鑑も管理されている。生活保護費の大部分をピンハネされた」

 男性は四月上旬、二年半暮らした宿泊所「稲毛厚銀舎」(筆者注:ホームレスの方の言われるシェルター)を飛び出した。

食と住まいを失った労働者を支援するため、都内で開かれていた「派遣村番の相談会」で窮状を訴え、弁護士らを動かす。

 家電販売店を経営していた男性は倒産の末、四十五歳ごろに路上生活者となる。

 都内で見知らぬ男から「三食昼寝付きで手当も出る」と声を掛けられ、200611月ごろ、稲毛厚銀舎に入所。テレビ付き二・五畳の個室に三食付き。月約三万円の生活保護費も支給された

 だが、市からの実際の支給額は約十二万円で、約九万円が施設に天引きされていた。男性によると、施設に不満を訴える入所者は追い出されたという。

 「どこが無料低額宿泊所(筆者注:文末に東京新聞の解説を補足します)だ」と憤りを募らせた男性は、施設を出ると決意。ホームレス生活に戻り、飛び入りで行うわずかな家電修理収入で暮らす。

 しかし、相談会に参加した後は「弁護士とも対等に話せ、世界が広がった。まず民事裁判でお金を取り戻し、そして施設に刑事責任を問いたい」と、笑顔を見せる。弁護団は全面的に支援する。

 本紙の取材に、厚銀舎側は「口座開設や振り込み指定など、本人の同意を得ずにすべて行うことば不可能。同意を得ているからこそ生活保護費が滞りなく受けられた。手続きやサービスに何ら問題があるという認識はない」と反論している。

 

 

 ここで、又、ホームレスの方のお話に戻ります。

 

 

生活保護を貰いに行くと、“住まいは?”と聞かれ、“アパートを借りたい”と答えると直ぐ追い返されてしまうけど“シェルターに入るというと、結構簡単に認められるんだよ、なにしろアパートだと滞納されたりすると、その尻拭いがお役所に回ってくるけど、シェルターならそんな手間が御役所に掛からないように出来てるからね!」

 

なにしろ、13万円ほど、御役所から貰うと直ぐに、牢名主にシェルター利用料として10万円支払わなくていけないんだから、残りは3万円で、直ぐタバコ代なんかで煙のように消え去って、手元には何も残らないよ!

だから、色々と不満が昂じて出て行く者も多いけど、入りたいのは次から次へと控えているんだから、シェルターを運営している奴(多分その筋の人達?)は儲かってたまらないよな〜。

 

儲けの一部は裏から政治家なんかに回っているんだろうね。”

 

 

 本当に、この世の中は“悪い奴ほど良く眠れる”ように出来ているのだなと溜息をつきました。

 

でも、その溜息を遮って、彼は又、別の事件を教えてくれました。

 

“数ヶ月前、群馬の山の中の施設で老人が焼け死んだ事件もこの類だよ”と

 

 

 そこで又、インターネットの御世話になりましたら、次のページを訪ねる事が出来ました。

 

 

 3月19日の深夜、群馬県渋川市の郊外にある老人入所施設「静養ホームたまゆら」の火災で、入所者10人が焼死した。

 

 この施設は老人福祉法で義務づけられている施設実態報告書の提出を2回にわたり拒否、3回目にしたのに基づき3月23日に県が立ち入り調査を予定して矢先の悲劇であった。

 

 この痛ましい事件の犠牲者に東京都民6人が含まれていた事実から、はからずも所得の少ない生活保護受給者の要介護高齢者が他に行き場がなく、他県や都内の無届の劣悪な「有料老人ホーム」に入所している実態が浮き彫りにされた。

……

 さて、こうして入居した高齢者はどんな待遇でくらしているのだろうか。群馬の水戸市の民間一時宿泊施設「あけぼの園」を4月28日に実態調査した大内久美子県議の報告を紹介しよう。

 

 同園は雑居ビルの各部屋に簡易間仕切りで一室2畳程度の51室を作り、現在、生活保護受給者40人が入所している。風呂はビジネスホテルクラスの浴槽とシャワーがいくつかあるだけ。

 

 同園では入所者から委任状をとりまとめて生活保護費を一括して受け取り月11万円の保護費から家賃・光熱費約4万5千円、食費3万4千円を徴収し、残りの3万円も施設側が管理していた

 

 

 更に、次の話もして下さいました。

 

 

“もっと酷い奴らはね(老人の件も酷いけど)、俺達みたいな仲間を、職を与えると誘って、山奥へ連れて行くんだよ
そして、電動ノコギリを持たせて、間伐材の伐採をさせるのさ。

勿論、報酬なんか払ってくれないよ、それに逃げようにも山奥で、何の交通手段もないんだから、逃げられやしないね!”

 

 

 こういうお話は、経団連とか言うところのお偉いさんはご存知なのでしょうか?

それとも十分に知っていて、自社が儲ける為に、人員調節は「派遣社員」で行い、その結果、「派遣社員」の生活がどうなってもかまわないと認識しているのでしょうか?

 

 そして、そうなるような政治を支援する為に、この何十年にもわたって自民党に献金し続けてきたのでしょうか!?

 

 

 

補足:無料低額宿泊所:東京新聞(20091018日)より

 

 社会福祉法に定める第二種社会福祉事業で、住居のない生活困難者に無料または低額料金で簡易住宅を提供する施設。特定非営利活動法人(NPO法人)の運営が大半を占める。厚生労働省によると、昨年6月時点で全国415施設に約13000人が入居する。設置は届け出制で、国の指針に基づき自治体がガイドラインを定める。行政のチェックや規制が行き届きにくく、劣悪な居住環境などのトラブルが各地で発生。運営基準の法整備や許認可制への移行を求める声もある。

 

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